がん治療センター

子宮がん

子宮がんについて

子宮がんについて

子宮は入り口の部分を、頸部、奥の部分を体部と呼び、それぞれのがんを頸がん・体がんと呼びます。子宮頸がんと子宮体がんは診断、治療、予後が全く異なります。

子宮頸がん

子宮頸がんについて

はじめに
日本では一昔前までは頸がんの割合が子宮がんの大部分を占めていたのですが、最近は体がんが子宮がんの50%以上に増加してきています。一方頸がんの罹患率は年々減少してきましたが最近下げ止まりとなり、その原因として若年層の罹患率の増加があげられます。子宮頸がんの危険因子としては早期からの性交開始、多産、喫煙などがあげられます。またがんの発生にはヒトパピローマウィルスというウィルスの感染が密接に関与しています。

若い人に増えてきています
子宮頸がんは40~50歳代に多いのですが、上皮内がんも含めると、この20年間において20~24歳で約2倍に、25~30歳で3~4倍に増加しています。2004年より厚労省は子宮頸がん検診について対象年齢を30歳から20歳以上に引き下げました。 一般的に頸がんは、異形成(前がん状態)→上皮内がん→早期がん(I期)→進行がん(II-IV期)と進んでいきます。 早期がんの段階で見つかった場合、治癒率は90%と高いのですが、通常子宮摘出が必要とされ、若年女性の場合は将来妊娠の可能性を失うことになります。そのため特に若年女性では、子宮を温存した治療が可能な上皮内がんまでに診断することが重要になります。もちろん中高年の方についても早期発見により比較的小さな手術で治癒できる可能性が高まることは言うまでもありません。

上皮内がんまでは症状がありません
上皮内がんまではそれ自体で不正出血などの症状を起こしませんので、子宮頸がん検診に行くか、または他の理由で婦人科受診したついでに子宮頸がん検診を行うしか見つかる方法はありません。不正出血があってから受診して見つかった子宮頸がんは進行がんであることも少なくありません。

子宮頸がん検診は簡便な検査です
ドックや集団検診などで行う子宮がん検診は、一般に頸がんの検診を指します。綿棒またはブラシなどで頸部をこすって細胞診を行う検査で、痛みはほとんどありません。また婦人科クリニックなどで検診を行い、同時に経腟エコーも併せて行えば、子宮筋腫や卵巣腫瘍など他の婦人科疾患をみつけるきっかけにもなります。 アメリカでは子宮頸がん検診の受診率は80%ですが日本ではわずか30%です。特に今まで検査を受けたことのない方、または不定期にしか受けていない方へ、ドックや検診機関、クリニックなどでの子宮頸がん検診をぜひお勧めします。

診断方法

がん検診で頸がんが疑われたら、拡大鏡で病変を確認し、一部かじりとる組織検査を行い、診断を確定します。その後、子宮の性状や周囲への広がりを検索するために子宮の前後にある膀胱と直腸の内視鏡検査、CT検査、MRI検査を行います。

治療法

拡がりによって治療法が異なりますが、主な治療には手術と放射線療法があります。頸上皮内がんとIA期または単純子宮全摘術を行います。子宮の頸部のみを切除する円錐切除術。Ib期からII期では子宮の周囲の組織を広く切除する、広汎子宮全摘術を行います。この手術は婦人科の手術の中でも最も大きな手術で、骨盤内や腹部の大動脈周囲のリンパ節の摘出も行いますので、輸血が必要となることもあります。したがって可能であれば手術前に自分の血液を貯めておく貯血を行っています。III期以上の方や高齢者、合併症のある方には放射線療法や必要に応じて抗がん剤治療を組み合わせた治療を行います。また手術を行った方でも、術後に放射線療法や抗がん剤治療を行うこともあります。

子宮体がん

子宮体がんについて

はじめに 以前は子宮がんの中で子宮体がんの占める比率が10~20%程度でしたが、最近は50%を超えるようになり、体がんは増加傾向にあります。その原因としては晩婚化、食生活の欧米化による肥満の増加などがあげられます。子宮体がんの好発年齢は50~60歳代です。危険因子としては未婚、不妊、月経不順、ホルモン剤(特にエストロゲン)の服用、妊娠回数や出生児数が少ないこと、糖尿病、高血圧、肥満などがあります。 子宮体がんの最も重要な症状は不正出血で、特に閉経後に少量の出血として始まることが多く注意が必要です。
最近は30~40歳代の若年の子宮体がんの発生も見られ、その多くは体がんの前がん病変(子宮内膜増殖症)を経てがんになるといわれています。早期に発見すれば治る可能性も高く、妊娠の可能性を残すような治療法も検討できますので、不正出血がある場合には一度体がんの検診を受けることをお勧めします。

診断方法

診断には子宮内より直接細胞を採取する細胞診、組織診の検査を行います。検査の際には下腹部の違和感や痛み、検査後の出血がありますが、いずれも軽度で検査も短時間で済みます。 細胞診、組織診の検査でがんと診断された場合にはCT検査やMRI検査などで子宮の性状や周囲への拡がりを検索します。

治療法

治療は手術療法が主体で、子宮、卵巣、卵管を摘出すること、および病変の拡がりを確認するため、骨盤内や腹部の大動脈周囲のリンパ節を摘出します。 病状に応じて放射線治療や抗がん剤投与、ホルモン投与を行うこともあります。

当院では

腹腔鏡下子宮体がん手術が2014年4月より保険適用になり、当院でも増加傾向です。詳しくは腹腔鏡下子宮体がん根治手術をご参照ください。

文責:産婦人科 丸山 智義

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