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産婦人科 - 腹腔鏡下子宮体がん根治手術

お腹を大きく切らない、腹腔鏡による子宮体がん根治手術

従来の開腹手術を腹腔鏡下手術に置き換えると、手術切開創は非常に小さくなり、通常開腹手術での約20~30cmに比較し、腹腔鏡下手術では0.5~1cmの小さな傷が計5個前後となります。それに応じて術後の疼痛は大幅に軽減され術後回復も早くなり、結果的に早期離床、早期退院、早期社会復帰が可能になります。また美容的に優れることも女性にとっては大きいでしょう。
ただ、対象は初期の子宮体がんに限られていますので、腹腔鏡下での手術を検討される方は、一度ご相談下さい。

子宮体がんの増加傾向

以前は子宮がんの中で子宮体がんの占める比率が10~20%程度でしたが、最近は50%を超えるようになり、子宮体がんは増加傾向にあります。その原因としては晩婚化、食生活の欧米化による肥満の増加などがあげられます。
好発年齢は50歳~60歳代ですが、最近は30歳~40歳代の若年の子宮体がんも増加しています。最も重要な症状は不正出血で、特に閉経後に少量の出血として始まることが多く、注意が必要です。

腹腔鏡下手術で初期子宮体がんを低侵襲で治す

子宮体がんの治療は手術療法が主体であり、子宮および両側付属器(卵巣・卵管)摘出術、リンパ節郭清(かくせい)術が含まれます。この手術は従来開腹手術で行われてきたものですが、海外では1990年代初めから子宮がんに対する腹腔鏡下手術が急速に普及し、近年では欧米・アジアを中心に広く実施されるようになり、多数の報告からがんの根治性・予後において開腹手術と比べ全く遜色がないと考えられているのが現状です。日本でも2014年4月より保険適応となりました。

腹腔鏡下手術といっても、お腹の中で行うことは開腹手術と同じです。5~10mmの小さな穴から腹腔鏡(カメラ)を挿入し、モニターに映る腹腔内を見ながら専用の手術器具を用いて手術をします。腹腔内に十分な空間を確保するため、炭酸ガスを注入してお腹を膨らませて行います。腹腔鏡下手術は熟練度が要求される手術ですが、骨盤深部など直視下では見えにくいところが観察しやすいという利点があります。映像を拡大できますし、最近は高画質化で細部までよく観察することができるため、開腹手術以上の精度の高い繊細な手術操作も可能です。

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