診療科・部門一覧

脳神経内科

当科の特徴

2022年 入院疾患分類
脳血管障害 342
てんかん 43
中枢脱髄疾患 23
パーキンソン症候群 19
髄膜炎、脳炎 17
運動ニューロン疾患 10
重症筋無力症 9
末梢性めまい 6
その他 141
合計 610

脳神経内科は、脳・脊髄・末梢神経または筋等の異常により生じる疾患を対象とする専門科です。症状としては、麻痺・意識障害・けいれん・言語障害・しびれ・めまい・頭痛・もの忘れなどがあります。

対象疾患として、脳血管障害(脳卒中)・脳炎・髄膜炎・頭痛・パーキンソン病・認知症・脊髄小脳変性症・筋萎縮性側索硬化症・変形性脊椎症・末梢神経障害・多発性硬化症・重症筋無力症・各種筋疾患・てんかんなど多岐にわたっています(右表)。その他にも、さまざまな原因で上記の神経症状を呈することがあり、どこに異常があるのか全身的に診ます。治療や手術が必要な場合には、状況に応じて脳神経外科や整形外科を紹介しています。

脳血管障害(脳卒中)をはじめとする神経救急疾患には迅速に対応する必要があり、当院は、脳神経内科・脳神経外科の共同で当直体制をとっています。救急科、放射線科、循環器内科などとも緊密な連携をとっていますので、ほとんどの神経救急疾患に対応しております。このように当院は神経救急疾患に対しては、整備されたシステムを有する施設といえます。

脳血管内科は、脳卒中専門医3人、脳血管内治療専門医2人を中心に、脳卒中急性期はもとより慢性期、あるいは予防について専門的に診療を行っています。

再開通治療件数

入院においては、2009年に開設した9床の脳卒中専門病棟SCU(Stroke Care Unit:脳卒中治療室)で、安全で質の高い脳卒中救急医療を提供しています。2022年、rt-PA静注療法単独は54例、脳血管内治療(tPA事前投与含む)は40例行いました。最新の脳血管内治療(ソリティアあるいはペナンブラデバイスによる血栓除去療法)では、rt-PA静注療法が無効あるいは適用できない場合に、血栓を直接除去することで脳血流を再開させることができます(下図参照)。頭蓋外の頸動脈高度狭窄に対する頸動脈ステント治療も行っています(図1)。SCUにはリハビリ室、言語療法室が隣接しており、急性期のリハビリを推進することで、「治る脳卒中医療」を目指しています。

※当院では、「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握に関する研究」に協力しています。

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自己拡張型ステントデザイン:血栓の中で展開
自己拡張型ステントデザイン
(左・中)オープンスリット構造(右)オーバーラッピングステント構造:血栓捕捉性能に優れる
(左・中)オープンスリット構造(右)オーバーラッピングステント構造:血栓捕捉性能に優れる

右内頸動脈が頸部から閉塞
右内頸動脈が頸部から閉塞

中大脳動脈にマイクロカテーテルを誘導
中大脳動脈にマイクロカテーテルを誘導

中大脳動脈にステントレトリーバーを展開
中大脳動脈にステントレトリーバーを展開

(左)内頸動脈は再開通し、症状は改善した(右)ステントレトリーバーで回収された血栓

(左)内頸動脈は再開通し、症状は改善した
(右)ステントレトリーバーで回収された血栓

(図1)頸動脈高度狭窄症に対するステント留置術
(写真左)治療前 (写真右)治療後

脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の進歩

脳動脈瘤コイル塞栓術用ステントの使用認可について

脳動脈瘤に対しては脳血管内治療を行い、脳神経外科と連携して診療にあたります。上腕動脈または大腿動脈内に極細のチューブ(カテーテル)を挿入し、その先端を病変部位まで誘導して、カテーテル内を通じコイルを留置します。この治療法の利点は、一般的な開頭術による外科手術に比べ、患者さんに加わる侵襲が極端に少ないこと、外科手術での治療が困難な部位でも、到達が可能であること、頭蓋骨を開けないので周辺の脳への影響がないこと、総じて入院期間が短いことなどです。脳動脈瘤に対してコイル塞栓術がうまくできるかどうかを決める一つの因子は、動脈瘤の形、特に頸部の広さです。治療は、主にバルーンと呼ばれる風船を併用したコイル塞栓術を行っています。

近年、脳動脈瘤コイル塞栓用ステントを用いてコイル塞栓術を行う(ステントアシストテクニック)が保険で認可され、さらに頸部の広い動脈瘤に対するコイル塞栓術も可能になってきました。なお、脳動脈瘤コイル塞栓用ステントは、使用する施設・術者が限定されて認可されております。

脳動脈瘤コイル塞栓術(ステントアシストテクニック)
脳動脈瘤コイル塞栓術(ステントアシストテクニック)
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