がん治療センター

胆道がん

胆道がんとは

胆のうは肝臓の下に接しており、胆管(胆のう管)を介して、肝臓とつながっています。 肝臓で生成・分泌される胆汁を蓄積して濃縮し、食べ物が十二指腸に入ると、その刺激を受けた胆のうが収縮することで、胆汁を十二指腸に放出します。この胆汁の通り道を胆管と言います。 これらにできるがんを合わせて、胆道がんと呼びます。
胆管は解剖学的にも外膜がなく、隣接する肝臓、膵臓という臓器だけでなく、門脈、肝動脈、神経組織へ早期から浸潤する特性があり、画像診断が進んだ現在でも難治性がんのひとつで、進行がんで発見されることが少なくありません。
胆道がんは社会の高齢化とともに年々増加しており、総務省の統計によれば1975年に6,599人であった年間死亡者数が2007年には16,586人と約2.5倍になっています。
本邦における胆道がんの年次死亡者数は増加の一途を辿り、2008年現在、がん死亡者数の第6位となっています。胆のうがんの危険因子としては、胆管拡張を伴わない膵・胆管合流異常などが挙げられます。 (厚生統計協会編 国民衛生の動向2008年度版)

胆のうがん・胆管がんの診断法

血液検査としては、アルカリフォスファターゼ(ALP)、γ-GTP、総ビリルビン、直接ビリルビンなどが上昇します。腫瘍マーカーとしては、胆道がんに特異的なものはありませんが、CA19-9とCEAがスクリーニング目的で用いられます。 画像診断では、腹部エコー、腹部CT、腹部MRIなどが比較的体への負担が少ない検査です。この他、超音波内視鏡、内視鏡を用いた胆管造影検査、肝臓に針を刺して行う胆管造影検査、胆道鏡などが、がんの進み具合の判定、治療方針の決定に用いられます。 これらの検査では、入院が必要です。無黄疸・無症状症例では検診や他疾患治療中の肝機能障害を契機に発見されることが多いようです。

胆のうがん・胆管がんの進行度

StageI がんが粘膜や筋層にとどまるもの
StageII がんが筋層を超えるが壁内にとどまっているもの、もしくは筋層までにとどまるが近傍のリンパ節に転移があるもの
StageIII がんが胆のう外へ露出するもの、もしくは壁内にとどまるがやや遠方のリンパ節まで転移があるもの
StageIVa 隣接臓器に直接浸潤するもの、もしくは大動脈周囲リンパ節など遠方のリンパ節に転移が及ぶもの
StageIVb 遠隔臓器へ転移するもの

胆のうがん・胆管がんの治療法

手術が原則とされています。
胆のうがんでは進行度により、術式が異なります。早期のがんであれば、胆のう摘出のみで治癒させることが可能ですが、進行がんでは、肝臓、胆管、十二指腸や膵臓など他臓器を含めた切除が必要となります。抗がん剤や放射線療法が有効であるという、まとまった報告はこれまでありませんが、手術不能と思われる進行がんに対しても、化学寮法を行っています。 胆管がんの治療としても同様に手術、放射線、化学療法が行われます。手術ではがんの局在、進行度により術式が大きく異なります。通常、がんの周囲を大きく切除するため、肝臓あるいは膵臓を一緒に切除します。手術が不可能と判断された場合、放射線療法・化学療法が有効といわれています。 多くの固形がんと同様、胆道がんにおける化学療法は、腫瘍縮小や病勢コントロールによる延命効果および症状緩和が主な目的であり、治癒を望むものではありません。全身状態が不良な例では化学療法による延命効果は認められていないことから全身状態の低下例や減黄不良例などでは化学療法のメリットは少なく、その適応は慎重に行うべきであるとされています。

当院では

内科・放射線科の診断を元に、手術(外科)放射線療法(放射線科) 化学療法(内科、外科、化学療法室) を行っています。また、医師のみではなく看護師・薬剤師・臨床心理士・ソーシャルワーカーで構成される緩和ケアチームによる疼痛緩和を早期から行っています。

文責:内科 明石 哲郎

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