放射線部
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放射線被ばくについて
医療被ばくの考え方
医師は、その検査が本当に必要かどうか検査によって得られる利益(診断し、治療方針を決めることができる)が放射線被ばくのリスク(放射線被ばくによる将来的な影響)よりも大きいかどうかを判断します。(正当化)
そして、不必要な被ばくを避けながら、適正に検査を実施する(最適化)ことが原則です。
診断参考レベル(DRL)について
医療被ばくの線量には上限がありません。これは、仮に上限を設けてしまうと、患者さんの診断や治療に支障をきたす可能性があるためです。放射線量が低すぎると、病気が診断しにくかったり、治療効果の低下を招く可能性があります。また、放射線量が高すぎると、不必要な被ばくを与えることになります。
このような医療被ばくを最適化する目的で、診断参考レベル(Diagnostic Reference Level: DRL)の利用が推奨されています。
当院においても、診断参考レベルに基づいて、放射線を使用した検査の標準化と防護の最適化に取り組んでおります。
当院の被ばく線量と診断参考レベルとの比較
一般撮影(レントゲン)
撮影部位 | 入射表面線量[mGy] | |
---|---|---|
診断参考レベル | 当院 | |
頭部 | 3.0 | 1.02 |
頸椎 | 0.9 | 0.45 |
胸椎 | 3.0 | 1.07 |
腰椎 | 4.0 | 2.56 |
胸部 | 0.3 | 0.28 |
腹部 | 3.0 | 0.87 |
骨盤 | 3.0 | 1.96 |
大腿 | 2.0 | 0.57 |
足関節 | 0.2 | 0.08 |
前腕 | 0.2 | 0.12 |
乳児胸部 | 0.2 | 0.04 |
幼児胸部 | 0.2 | 0.13 |
乳児股関節 | 0.2 | 0.06 |
血管造影
部位 | 透視線量率[mGy/min] | |
---|---|---|
診断参考レベル | 当院 | |
心臓 | 20 | 12.4 |
四肢 | 4.8 | |
腹部 | 5.0 | |
頭部 | 8.8 |
マンモグラフィ
平均乳腺線量[mGy] | |
---|---|
診断参考レベル | 当院 |
2.4 | 1.78 |
CT検査
撮影部位 | CTDIvol *1[mGy] | DLP *2[mGy・cm] | ||
---|---|---|---|---|
診断参考レベル | 当院 | 診断参考レベル | 当院 | |
頭部 | 85 | 68 | 1350 | 1313 |
胸部 | 15 | 11 | 550 | 529 |
腹部骨盤 | 20 | 16 | 1000 | 842 |
胸部~骨盤部 | 18 | 16 | 1300 | 1149 |
心臓 | 90 | 84 | 1400 | 819 |
小児頭部 | CTDIvol [mGy] | DLP [mGy・cm] | ||
---|---|---|---|---|
診断参考レベル | 当院 | 診断参考レベル | 当院 | |
1歳未満 | 38 | 29 | 500 | 491 |
1~5歳 | 47 | 40 | 660 | 601 |
6~10歳 | 60 | 53 | 850 | 778 |
*1 CTDIvol:標準ファントムでの撮影線量となります。
*2 DLP: CTDIvolに撮影範囲(長さ)を乗じたものとなります。
※被ばく線量は体重50~60kg、ただし心臓のみ体重50~70kgの平均としています。
※体型により同じ撮影部位でも線量は異なります。
放射線部における検査・治療の安全性について
放射線部における検査・治療には、造影剤の副作用やMRI室への磁性体(金属類など)の持ち込みをはじめ、合併症など予期せぬリスクが生じ得る可能性があります。 しかし、スタッフが細心の注意を払い、何らかの症状が発生すれば、医師や他スタッフと協力して処置や看護にあたっています。 安心して検査・治療を受けてください。
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