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循環器内科 - 心不全

心不全とは

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心不全とは、心臓の機能に障害が起き、体にさまざまな症状が出る状態のことをいいます。2017年10月、日本循環器学会と日本心不全学会は合同で「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義しました。このように定義された背景には、一般的に「心不全とは人間の最期を表すような末期の病気」、「心不全とは心臓が止まりそうな状態」などと誤解されやすいことがあります。しかし高血圧や不整脈などさまざまな疾患によって心臓に負担がかかり、例えば歩行時に軽い息切れがすることも心不全です。

現在、わが国では心不全患者の増加が深刻な問題となっています。心不全を含む循環器疾患の死亡数は、がんに次ぐ第2位と大変多く、高齢化社会が進むにつれて今後さらに急増することが予測されています。

心不全の原因で代表的なのは、高血圧、糖尿病など生活習慣病が関連した心筋梗塞をはじめとした血管の病気です。このほか心臓の筋肉の収縮が低下したり、心肥大が起こる心筋症、大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)、僧帽弁閉鎖不全(そうぼうべんへいさふぜん)など心臓の弁に不具合が起きる弁膜症、脈が乱れる不整脈、先天性心疾患などが挙げられます。これらの病気のコントロールがうまくいかなくなると、血液を全身に送り出すポンプ機能が十分に発揮できなくなり、心不全に至ります。

心不全患者さんで症状が出ることは右図のような関係にあります。元気な心臓では日常生活はもちろん、強い運動をしてもまだ余力がありますが、心不全患者さんは何らかの心疾患によって心臓の力が弱っています。Aさんでは軽い運動であれば可能ですが、それ以上の負荷がかかると息切れなどの症状が生じます。次にBさんは日常生活を送る上ではまだ余力がありますが、買い物などの軽い運動ですらできない状態です。つまり、日常生活内で自覚症状がないからといって、心臓が大丈夫というわけではないのです。

自己管理が大事

心不全とは前述のように何らかの心疾患によって、すでに心臓に負担がかかっている状態です。塩分摂取が多いと、体内に水分が貯留したり血圧が上がったりして心臓への負担がさらに増えます。また貧血になったり風邪を引いたりすることも同様です。自分の余力を越えた無理な労作を控えることも重要です。このように、心不全が安定した状態を維持するためには日常生活の自己管理が重要なのです。

心不全サポートチーム

心不全患者さんの病態の安定を図るために、当院では多職種で患者さんと向き合っています。医師、認定看護師、栄養士、理学療法士、薬剤師、臨床工学技士、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士など、多岐にわたる臨床スタッフで心不全サポートチームを形成し、週1回心不全カンファレンスを行いながらよりよい心不全治療を目指しています。

心不全サポートチーム

ECMOチーム(PCPS:経皮的人工心肺)

ECMOチーム

PCPSは従来の治療では直ちに絶命してしまうような重症循環不全患者が、自分の力で治癒・回復するまでの間、呼吸機能と循環機能を代替する治療法です。当院は3次救命救急センターであり、心肺停止症例や心原性ショック症例も多く搬送され、そのような中で適応のある患者さんにV-A ECMO(PCPS)を行っています。ひとりでも多くの緊急心肺停止の患者さんの命を救い、社会復帰できるように、医師、臨床工学技士、看護師でECMOチームを結成しています。PCPS挿入中の患者さんの治療方針を検討したり、月1回のカンファレンスを実施しています。

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