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循環器内科 -MitraClip
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2024年1月より「MitraClip」デバイスを使用した、重症な僧帽弁閉鎖不全症へのカテーテル治療を開始しました。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)とは
心臓には4つの弁があり、心臓の左側に僧帽弁と大動脈弁、右側には三尖弁と肺動脈弁があります。 体に栄養や酸素を送るために、心臓は収縮運動をしながらポンプのように血液を送り出しています。 このなかで、僧帽弁は左心房と左心室の間にあり、左心房から左心室に血液を送り出し、その送り出した血液が左心房へ戻らないよう心臓の動きに合わせて開いたり閉じたりしています。 『僧帽弁閉鎖不全症』とはその僧帽弁がうまく閉じなくなり血液が左心室から左心房に逆流してしまう病気です。

日本では75歳以上の方で10人に1人が罹患していると言われ、高齢者に多い疾患です。軽症であれば自覚症状はありませんが、悪化すると心不全等を引き起こし、命に関わる危険性もあります。この『僧帽弁閉鎖不全症』には大きく分けて2種類あります。
- ◆器質性(一次性)MR
僧帽弁の左心室側には僧帽弁の弁尖(前尖/後尖)と乳頭筋をつないでいる紐のような腱索があり、それが何らかの原因で切れる、もしくは延長することで弁尖の接合不全が起きて血液が逆流してしまいます。 - ◆機能性(二次性)MR
何らかの原因によって心臓が拡大してしまうことで僧帽弁の弁輪が大きくなったり弁尖が下方に引っ張られてしまうことで接合不全が起き血液が逆流してしまいます。心臓の収縮が低下した人に認めることが多く、心筋梗塞を起こした人の10人に1人、拡張型心筋症の4人に1人に重症MRを合併しているといわれています。 この『機能性(二次性)MR』の場合、高い割合でMitraClipが有効な治療方法となります。心不全に合併した僧帽弁閉鎖不全症(機能性MR)の場合、高い割合でMitraClipが有効な治療方法として適応になります。
僧帽弁閉鎖不全症の治療法
軽度から中等度の僧帽弁閉鎖不全症で自覚症状もない場合は、特に治療をせずに経過だけを見ます。経過観察が必要なのは、何年か後に進行する可能性があるからです。
◆薬物療法
中等度以上の僧帽弁閉鎖不全症の場合でも心臓の機能が障害されていないときは、日常生活で自覚症状が出るのを遅らせたり、心筋の機能を保護したりする意味合いから薬物治療を行います。僧帽弁逆流を緩和させ、進行を抑えるために薬を服用します。
◆外科手術
症状が進み、重症化した場合は外科手術を行います。僧帽弁形成術、置換術が主な術式で僧帽弁の逆流をなくすことが目的です。心臓を止めて行う必要があるため人工心肺を使用して行われます。外科手術には長い歴史もあり、安定した成績が出ています。外科手術を受けることができる患者さんは、外科手術が第一選択になります。
◆経皮的僧帽弁接合不全修復術
MRの低侵襲な治療法のオプションとして、経皮的僧帽弁接合不全修復術 (TMVr)があります。 もし医師が年齢や心不全の進み具合、その他身体所見により、外科手術が難しいと診断した場合、『経皮的僧帽弁接合不全修復術』といわれるカテーテルを使用した低侵襲な治療が選択可能かもしれません。
MitraClipによる経皮的僧帽弁接合不全修復術
外科手術が必要で何らかの理由で手術を受けられない患者さんに向けた新しい治療法です。 僧帽弁の逆流を軽減することが目的であり、胸を切開する従来の外科手術よりも体にかかる負担が少ないため、 年齢や併存症のために、これまで手術を受けることが難しかった患者さんに対しても治療が可能となります。 外科手術と違って、経皮的僧帽弁接合不全修復術では開胸して、一時的に心臓を止める処置は行いません。 その代わりに医師はカテーテルといわれる細い管を使用して、静脈から心臓にアプローチします。 用いるデバイスは、僧帽弁に留置する小さなクリップです。このクリップにより僧帽弁の前尖と後尖を合わせることで逆流を減らす治療を行います。
MitraClipのメリット
- ◎患者さんの負担が少ない
- ◎手術ができない方も治療できる可能性がある
- ◎術後の社会復帰が早い
- ◎心不全で入退院を繰り返している方にも有効