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乳腺外科 - 気になる症状と病気

気になる症状と病気

●乳房の痛み

乳房に痛みがある方のうち、マンモグラフィーや超音波検査で異常を認めない場合、ほとんどは「乳腺症」です。「乳腺症」は、女性ホルモンの相対的な過剰によりおこるとされています。「乳腺症」の多くは乳がんとは直接の関係はありません。定期的な検査は必要ないのですが、40歳以上の方は乳がん検診を受けていただくようにしています。乳房の痛みは、経過をみているうちに自然に改善することが多いですが、ふたたび繰り返すこともあります。 乳腺症以外には、「乳腺炎」があります。「乳腺炎」は、皮膚が赤くなったり熱くなるといった炎症反応を認めます。授乳に伴うものが多く、多くの場合は抗生剤の服用で治りますが、うみがたまっていると切開が必要になることもあります。

●乳房のしこり

乳房のしこりには、「乳がん」「のう胞」「線維腺種」「葉状腫瘍」「脂肪腫」などがあります。

のう胞
乳腺にできた袋の中に液体がたまったものです。のう胞そのものが近い将来、乳がんになることはなく、治療の必要はありません。大きくなり痛みなどの症状がある場合には、液体を注射器で抜くことにより改善します。しかし、ときおり「のう胞」のなかに腫瘍ができることがあり、この場合には良性か悪性かを診断するために切除が必要になることがあります。

線維腺種・葉状腫瘍
10~30歳代の方に最も多いのは、「線維腺種」です。ほとんどの場合は経過観察のみで良く、手術は必要ありません。しかし、大きさが3cmを超える場合には、手術が必要になる場合があります。「葉状腫瘍」は、「線維腺種」とよく似ていますが、大きくなる傾向があることや、まれに悪性の場合もあることから、基本的には手術が必要です。手術の方法ですが、「線維腺種」は腫瘍だけを切除します。「葉状腫瘍」は、再発の危険性があるため、少しだけ大きめに切除します。

脂肪腫
脂肪にできる腫瘍で、切除することで治ります。

●乳頭からの分泌物

妊娠や授乳もしていないのに、乳頭から分泌液がでてくることがあります。これを「乳頭異常分泌」と呼びます。分泌液は無色透明、ミルク様、血液様などがあります。
定期的にお薬をのんでいる方の場合、お薬の影響で乳頭から分泌液がでることもあるので、まずこれを確認します。両側から多量に分泌液がでるときには、「脳下垂体腫瘍」という病気が原因となっている場合があるため、検査が必要です。
それ以外は、しこりを触らない乳がんが原因のことがあるので、精密検査をおすすめします。とくに血液の混じったような液である場合には乳がんに注意が必要で、約30%が乳がんであるといわれています。
検査は、マンモグラフィー・超音波検査・分泌液の細胞診を行います。超音波検査でしこりを認めた場合には、細胞診あるいは針生検を行います。乳がん以外には、「乳頭腫」という良性腫瘍の場合があります。良性であると診断がついた場合には経過観察でよいとされていますが、実際に細胞診や組織診でもがんと見分けることが難しいケースが多いため、当院ではMRI検査を行い悪性の可能性が否定できないときには、手術をおすすめすることが多いです。 手術は、「乳管腺葉区分切除術」といい、分泌物がでてくる乳管が分布する乳腺を部分的に切除する手術になります。一般には、乳腺全体の約1/6を切除するイメージで、乳房がひどく変形することはありません。皮膚の傷もあまり大きくありません。手術の結果、「乳頭腫」であった場合には、これで治療は終了です。「乳がん」であった場合には、その性質やがんの広がりによっては再手術が必要になることもあります。

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